『My Revolution』 渡辺美里

小室哲哉プロデュースと言えば、女性シンガーが多いというのは確かである。
渡辺美里の『My Revolution』は、小室哲哉作曲であるが、作詞は、川村真澄という人である。それでも、後の小室哲哉が作詞まで手掛けた女性シンガーのプロデュースの一つの原型を見ることができる。
この曲で、描かれる心情とは、ただ会いたいとか、好きなのに素直になれなくて、といった、いまだに J-POP にありがちな演歌っぽいものではない。
注目したのは、次のフレーズである。
“きっと本当の悲しみなんて 自分ひとりで癒すものさ”
では、独りで生きていくのかと言えば、そうでもないらしい。
“誰かに伝えたいよ My Tears My Dreams 今すぐ”
自分の夢や涙を分かち合える誰かが、自分にとっての大切な人なのだろう。
“自分だけの生き方 誰にも決められない”
“君とみつめていたい My Fears My Dreams 抱きしめたい”
自分にとっての革命とは、他人にとっては取るに足りないものかもしれない。しかし、その夢と不安を共有できる同志を求めている。小室哲哉にとって、そういう女心を掴んだのがこの曲で、それ以降、ヒットを連発していく上での型を習得したように思えるのだ。