『雫に恋して』 indigo la End

『忘れて花束』をカップリング曲とした『雫に恋して』。MV も対になっている。
インディーズバンドでボーカルを務める川谷絵音、そのマネージャー的なことをやっていると思われる恋人。青春そのものな MV と相まって、“ただただあなたに恋をしてた”と聞くと、一途なラブソングなのかと思いがちである。
気になったのは、
“あなたを思い出しては 落ちる雫に恋して”
である。ここで、曲のタイトル「雫に恋して」が登場する。

雫に恋するとは、どういうことだろうか? 「雫」を涙と解釈することは自然なことだと思う。すると、自分の涙に酔っている。恋に恋する乙女ということで間違いないだろう。
これは、明らかに男目線の歌詞である。女の主観としては、“ただただ目を見ては 随分長いことそうしてたっけな”なのである。
そこに、「そんな自分に酔ってるんだろ」という俺様な絵音が入り込む。
曲を遡れば、“今の私はどんな顔してるの”である。けっこう、自分自分なのである。
恋する乙女心のそんな一面をすました顔で指摘するところに、川谷絵音のちと意地悪な視点を感じてしまうのだ。