TRF の曲の中でも、それほど商業的に成功したわけでもないこの曲。
しかし、小室哲哉自身の気持ちを色濃く反映しているようで、気になる一曲である。
“Take me to the silent night 凍えたあの夜を
Take me to the heavenly place 忘れずに生きているよ”
この、過去に置き忘れた何かを必死に取り戻そうと生きている感じ、これが小室哲哉の人生に重なって見えるのだ。
“あーそーか、だからね、みんなは急いで
はじける時代は もうすっかり卒業しちゃってる”
みんなでかくれんぼをしていて、気づいたら遊びは終わっていて自分だけ取り残された感じとでも言おうか。
同世代は、すっかり大人になり各々の役割をしっかりこなしているのに、自分はあの日のままな感じ。
“とてもいい子だと 思ってくれてた
応えられずに どこかに思い出だけ置き去りで”
この未練たらたらぶりは、もうほとんど演歌である。
篠原涼子に提供した『恋しさと切なさと心強さと』でも感じたことであるが、この喪失感が小室哲哉の創作の源泉になっていたような気がするのだ。
そして、この曲では、上で引用した歌詞のように、はじける時代はもうすっかり卒業しちゃってることを自覚しているところに、哀愁を感じてしまう。