錦戸亮の怪演が印象的だったドラマ『ラスト・フレンズ』の主題歌、『Prisoner Of Love』。
愛とは、人を束縛するものだろうか?
“退屈な毎日が急に輝きだした あなたが現れたあの日から”
“ありふれた日常が急に輝きだした 心を奪われたあの日から”
アブラハムに息子イサクを捧げるよう命じる神のように、絶対服従させることが愛することだろうか? 愛されるとは、それを受け入れることだろうか?
おそらく、愛の持つこの側面に悩むことのない人は、このような曲を書かないし、このような曲を聴いても素通りすれば良い。
私は、この曲を勝手に、宇多田ヒカルの中の旧約聖書と呼んでいる。
愛を、愛される側、しかも独占欲の強い形でしか経験したことのない時期を通過して、愛することを経験した時、人間レベルの愛というものがわかるようになるのではないだろうか。
「愛とは何か」問題について、宗教的にならざるを得ないのは、この世に存在しない何か完璧なものを求めてしまうからだろう。人間界の愛に傷ついた人にとっては、なおさらである。
その意味でも、ドラマの内容と宇多田ヒカルの世界観が見事にシンクロしていた。