『男女同権』 太宰治

『だめんず・うぉ~か~』の発表以来、ダメな男(だめんず)という言葉は、倉田真由美の専売になったような趣があるが、それより半世紀以上前、ダメな男について書かれた傑作が存在する。
それが、太宰治の『男女同権』である。文字通り「ダメな男」という言葉が登場するのは、作品中8回。それほど多いという訳でもないが、この小説の主人公は、本当にダメな男である。
終戦直後に書かれたこの作品は、ある講演会の記録という形式を取っており、あるダメな老人、と言っても一時期は詩人として活動していたことのある男が、講演を頼まれて、今までの人生を独白するという内容である。
その人生のダメっぷりと言い、語りの面白さと言い、太宰治の才能が遺憾なく発揮されている。
“詩人というものはただもう大酒をくらって、そうして地べたに寝たりなんかすると、純真だとか何だとか言ってほめられるもので”とか面白すぎる。
そして、何が「男女同権」なのかというと、“新憲法に依って男女同権がはっきり決定せられましたようで、まことに御同慶のいたり、もうこれからは、女子は弱いなどとは言わせません、なにせ同権なのでございますからなあ”ということである。
作品はフィクションといえども、太宰治には、やはり「だめんず」の素質があり、それは、小室哲哉や川谷絵音のもっと先を行っていたのではないだろうか。

当サイト編集長。 エンジニア、デザイナー、物書き、編集者、アマチュアギタリスト。

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