『白線の内側に下がってお祈りください』 汝、我が民に非ズ

町田康がボーカルと作詞を務めるバンドによるこの曲。題名は、『白線の内側に下がってお祈りください』。
このフレーズで思い出したのは、ブレイディみかこ著『アナキズム・イン・ザ・UK』の中の“そもそも信ずることや愛することに危険も安全もないのであって、「ここの部分は安全だから信じるけど、ここの部分はちょっと危険だから信じない」というようなセンシブルな姿勢では、本当に何かを信じ、愛したことにはならない。”という箇所である。
つまり、白線の内側に下がって(安全な距離を取って)祈ったり、祈られたりは出来ないのだ。不可能なことをやれと言っているのだ。しかも、バンド名は「汝、我が民に非ズ」。もう、拒絶しまくりである。

不可能なことをせよと言われて、嬉々としている聴衆。この珍妙な光景が PUNK ということか? INU のアルバムは『メシ喰うな!』だったし。
しかし、これは能書きがなければ意味のわからない現代アートのような、インテリぶった知的遊戯と受け取られても仕方ないだろう。
私の知っている PUNK の老い先は、世界平和を叫びながら自分の人間関係は破綻している人や、左翼っぽいことを言いながら労働を厭いアカデミックポストに拘った結果、貧乏をしている人などである。
もっとも、PUNK であろうがなかろうが、年取って好々爺になるのも有りだと思う。