『TOO SHY SHY BOY!』 観月ありさ

小室哲哉が作詞・作曲・プロデュースを手掛け、観月ありさが歌った『TOO SHY SHY BOY!』。
この作品は、男の気持ちをいかにも元気のよさそうな女の子(当時)に歌わせることによって、安室奈美恵の『SWEET 19 BLUES』のような歌い手のキャラと歌の内容の微妙な齟齬を回避することに成功していると言える。
つまり、どういうことかと言うと、『TOO SHY SHY BOY!』を男に歌わせた場合、歌い手のキャラと歌の内容の相性が問題になってくるのである。後年、小室哲哉自身がアルバム『Hit Factory』でセルフカバーしたバージョンでは、その辺りの配慮があったのか定かではないが、歌詞が変更されている。

さて、この『TOO SHY SHY BOY!』、小室哲哉の「非リア」ぶりが偲ばれる作品である。
“瞳を閉じて 歴史をたどる
さほど思い出もないままに”
“泣き出しそうな 胸の想いを話したくて”
である。
“語り始めた 素直な想い
いつチャンスなの?”
too shy shy boy だった小室哲哉が素直な想いを語り始めたのは、音楽を通してなのだろう。
しかもそれを、自分とは対照的なキャラの女の子に語ってもらうというところに、言ってみればラノベの主人公のようなファンタジーがあるのだ。