ゲスの極み乙女の文人なんだけどストリート系にも一目置かれる感じと、お洒落なんだけど硬派な感じが出ているこの作品。後半のラップも良い。
と同時に、少し悩んでいるのかなという感じもする歌詞。
“空前の不幸せブームの背景は 政治家でもなく金でもない 圧倒的に足りなくなってる ハートフルな傷の付け合いさ”
現代人の「引きこもり上等」な意識と、それはそれとして本音でぶつかり合える相手が欲しいという願望の葛藤。その葛藤をゲスの極み乙女自身が現在進行形で経験しているという聴衆との共犯関係。
個人的には、そこまで身を削って我々の彷徨える魂を救ってくれなくてもいいよ、とは思うのだが、これが圧倒的にかっこいい音楽に仕上がっているのだから、天職だと言えるのだろう。
“そのまんま 愛以外はそのまんま ハートなんて揺らして泣いてくれよ”
一度堰を切ったら溢れ出してしまいそうな何か。今日も我々は澄ました顔ですれ違いながら、一人画面の前で熱いハートを成仏させている。
こんな音楽が必要なくなるくらいにリアルの生活が充実していたら、そのほうが良いのだろうけれど、現代の日本に生まれた人間にとって、本音を開放できる場所というのはこういう芸術の中だったりするのだ。