『Mirador』 Johnny Hallyday

Johnny Hallyday ――2017年に74歳で亡くなったフランスの大御所芸能人。フランス版エルヴィス・プレスリーと形容されることもあり、大いに影響を受けているのは確かなのだが、一筋縄では行かないとも言える。
『Mirador』が収録されているアルバム『Cadillac』の名も一見アメリカへの憧れのようにも思えるが、自動車メーカー Cadillac 自体、デトロイトを開拓したフランス人 Antoine de Lamothe-Cadillac (1658~1730年)に因んで命名されたと言う。つまり、フランス人の中には、アメリカ的なものの祖先はフランスにあるという意識もあるのだ。

『Mirador』を作曲したのは、Sylvie Vartan との間に産まれた息子 David Hallyday、作詞は Etienne Roda-Gil。Mirador は「監視塔」の意味で、骨のある歌詞となっている。
印象に残っているのは、次の箇所
” Il n’y a pas d’école Pour apprendre à aimer
Il y a des écoles Pour apprendre à tuer “
「愛することを習うための学校は無い
殺すことを習うための学校はある」
戸塚ヨットスクールは、何のために子供を海に突き落として、わざわざ憎しみと暴力を覚醒させているのだ?
自由を求めたはずの開拓者たちが、行く先々で服従を強制して、暴力による支配を伝道したという事実も、この曲は示唆しているように思う。