『Jump to the Breeze』 倖田來未 with 小室哲哉

2023年に中国で先行して発表されていたという本作。2024年に日本でリリースされ、昔からの小室ファンの間で話題になっているらしい。
往年の小室サウンドが戻ってきたという声もあるが、もちろん当時の音楽そのままではない。例えば、2001年に発表された倖田來未と小室哲哉のコラボレーション『the meaning of peace』と比べても、シンプルで洗練されている。
そして、何と言うか、私には三途の川が見えるのだ。これは良い意味で。つまり、天国一歩手前な情景が浮かんで来る。臨死体験をした人が見る景色というのは、それぞれの文化圏によって違うらしい。共通するのは、幸福感に包まれることだと言う。

小室哲哉にとっての天国一歩手前の情景は、”Sunshine on the Beach” 海辺に注ぐ太陽だと言っても良いかもしれない。栄枯盛衰を経験した彼がたどり着いた場所がこの楽園だと思うと、嬉しくなる。
自然を愛でる感じ、この世を満喫する感じ、これで良いと思えて来る。
この曲には、長らく J-POP を支配してきた哀愁とは違う Happiness 、祝福されたマインドが宿っている。その意味で、時代の変化を感じさせる。
65歳になって新たな時代の扉を開いた小室哲哉は、やはり時代の空気を感じる力を持っていると言えるだろう。