indigo la End の Indigo Love Story 。藍色のラブストーリーとは、何だろうか?
特徴的なギターのカッティングは、例えば Nile Rodgers のファンクな感じとも違いアタック感がある。
歌詞の一字一句を理解するのは、難しいと思う。印象に残ったのは、途中の語りの部分。
“突飛なラブストーリーが聞きたい
何もかもが優しくて甘いストーリー
笑えるラブストーリーを演じたい
誰もが知ってるあの女優と”
ここで思い出したのは、太宰治『葉』の中の次の箇所
“どうせ死ぬのだ。ねむるようなよいロマンスを一篇だけ書いてみたい。男がそう祈願しはじめたのは、彼の生涯のうちでおそらくは一番うっとうしい時期に於いてであった。”
川谷絵音がこの作品を読んだことがあるのかないのかは知らないが、この時期の indigo la End には、全てが藍色がかった今にも泣きだしそうな雰囲気が漂っている。
“愛し合うだけでもう 他はいらないからさ”
これでは、もう恋愛至上主義者である。
悟りを開いてしまえば何でもないのかもしれないが、浮世に生きる我々にとって、この憂鬱を吹き飛ばしてくれる笑えるラブストーリーは人間賛歌である。滑稽な営みすら愛したいというのは、この世への愛である。