おそらくエレファントカシマシが一番売れなかった頃の歌。レコード会社との契約的にも、このまま売れないとそろそろヤバいのではという雰囲気が漂ってきた時期だったと思う。
発売は1993年であり、日本のバブル経済は既に崩壊していたが、時代はまだフワフワしていた。そこへ「奴隷天国」である。ここでの「天国」は、「歩行者天国」で歩行者が優先されて守られているのと同じニュアンスで、奴隷が優遇されているという意味である。
奴隷が優遇されている国、それが日本である。自分の信念を捨て、世間に迎合すれば、これほど楽な国もないだろう。学校や会社が要求する「明るく元気よく」「夢」「希望」、判で押されたようにテンプレ化した卒業文集を書く子供たち、互いに茶番であることを承知の上で演じられる就職活動、これらに屈服すれば彼ら(誰なんだ?)はご満悦である。それと同時に最低限の衣食住が保障される。
“何笑ってんだよ 何うなずいてんだよ おめえだよ”
そう、自分たちが奴隷だから、自分たちと同じようにしない人が許せなくて、自分で考える人、自立している人に冷や飯を食わせようとするのだ。
当時、まだ20歳代のエレファントカシマシによるこの公開説教が有難くて、有難くて、それこそ姿勢を正して拝聴したい一品である。