『東京の空』 エレファントカシマシ

EPIC SONY 時代最後のアルバム『東京の空』に収録されている表題曲『東京の空』。
この頃の宮本浩次は、蓬髪にワイシャツ姿という現在のスタイルが確立されつつある。楽曲も、何かが生まれそうな予感がある。それでも、まだもどかしいのだ。
“ああ街の空は晴れてああ人の心晴れず”
これは、当時のエレファントカシマシの置かれている状況を物語っているかのようである。
“ああ相応しくくらせればそれがいい”
この辺りに、心の揺れも感じてしまう。
鼻歌のような、自転車を漕ぎながら口ずさみたいメロディーがそこまで出かかっているのに、上手く表現できない。あともうちょっと、何かが足りない。そんな感じがする。
この曲にトランペットで参加した近藤等則をはじめ、アルバム『東京の空』には名立たるミュージシャンたちが参加している。エレファントカシマシがいかに周りの大人たちに期待されていたのかがうかがい知れる。
本作を最後に、EPIC SONY との契約は終了し、エレファントカシマシはいったんフリーになる。
“必ずや叶うだろう夢とやら必ずや届くだろう”
現在そのような状況にある人にとっては、まさに自分のことのようであり、そういう時代を乗り越えた人にとっては、あの頃の自分を励ましてあげたくなる、そんな一曲である。