PONY CANYON 移籍後、初めて発表された曲がこの『悲しみの果て』である。
曲はシンプルであり、そのメッセージは真っ直ぐだ。
“悲しみの果てに
何があるかなんて
俺は知らない
見たこともない”
今までもがき苦しんできたことが嘘のように、なめらかだ。再出発に相応しい爽やな曲だ。
“部屋を飾ろう
コーヒーを飲もう
花を飾ってくれよ
いつもの部屋に”
逆説的であるが、この言葉は、悲しみの果てのギリギリの淵まで行ったことのある人にしか出せないだろう。
正義感、究極の真理、偽善との闘い、解脱するための苦行。気がつけば自分も他人も傷つけ、この世を恨むことになっていなかっただろうか?
“何の転機で、そうなったろう。私は、生きなければならぬと思った。”(太宰治『東京八景』)
人生は不思議だ。宮本浩次がどこまで意識しているかわからないが、今でも YouTube のコメント欄などで、エレファントカシマシは人の命を救っているという言葉を見かけることがある。そのような転機を後押ししてくれていることがあるのだ。

