ナロードニキ

「ナロードニキ」とは、「ナロードニキのアニキ」の略である。
PHP は PHP: Hypertext Preprocessor の略であるとされるが、このような頭字語は「再帰的頭字語」と呼ばれる。
ナロードニキのアニキをナロードニキと略すのは、頭文字ではないので、再帰的略語とでも呼んでおこう。
ナロードニキの語源は、ロシア語でヴ・ナロード(人民の中へ)というスローガンだと言う。
ナロードニキはロシア独自の革命を目指して、人民の中に入り彼らを啓蒙しようとしたが、当の人民たちからは怪しまれ、支持を得ることは出来なかったらしい。
「人民の中へ」と言っている時点で彼らは人民ではないのである。
ロシア革命は、その後紆余曲折を経て実行されるのだが、ロシア革命を主導したのは、やはり人民ではなく、西洋の事情に詳しい知識人たちであった。
ロシア革命の原動力は、「下」からの突き上げではなくて、いまだに中世の封建制度のような「わがロシア」の後進性に対する知識人階級の焦りではなかっただろうか?
「ぼくらは、根が性急な人間だものだから、この国の百姓たちに対しても早まったことをしてしまったのですよ」とは、ドストエフスキー著『悪霊』の中のステパン氏の言葉である。
だからと言って、ナロードニキたちの思いに真剣さがなかった訳ではないだろう。
「死ねば一番いいのだ。いや、僕だけじゃない。少くとも社会の進歩にマイナスの働きをなしている奴等は全部、死ねばいいのだ。それとも君、マイナスの者でもなんでも人はすべて死んではならぬという科学的な何か理由があるのかね」(太宰治『葉』)
自分たちが滅びるべき側の人間だという思いで生きるのは、どんなものだっただろうか。
また、ナロードニキの女性形は、「ナロードニキのアネキ」略して「ナロードネキ」と言いたいところだが、この呼称は普及していない。
しかし、これもまたナロードニキに女性がいなかったということではない。