太宰治
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「不良とは、優しさの事ではないかしら。」
「不良とは、優しさの事ではないかしら。」これは、太宰治『斜陽』の中の言葉である。この言葉から受け取る印象は、様々であって当然である。曰く、「昔ヤンチャしてたことを自慢をする大人は痛い」とか「不良が更生…
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『小説と〈歴史的時間〉――井伏鱒二・中野重治・小林多喜二・太宰治』 金ヨンロン 世織書房
本書は、日本文学研究者による、研究の新たな方法論の試みである。著者は、これを〈歴史的時間〉と名付けているが、この理論の提出の背景には、カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアリズムといった方法論にお…
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『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』 松本侑子 光文社
太宰治と心中した山崎富栄の生涯について松本侑子が書いた本。心中事件について書かれた既存の文献だけでなく、当時の新聞記事、生前の富栄と面識のあった人への取材など、実によく調べられた上で書かれている。「あ…
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『太宰婚〜古本カフェ・フォスフォレッセンスの開業物語〜』 駄場みゆき 著 パブリック・ブレイン 発行 星雲社 発売
三鷹で古本カフェ「フォスフォレッセンス」を経営している駄場みゆき氏による開業物語。カバーに大きく「太宰婚」と書かれているように、禅林寺の桜桃忌でのご主人との馴れ初めも語られている。そして、何とお二人の…
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『明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子』 太田治子 朝日新聞出版
『斜陽』に日記を提供した太田静子と太宰治の娘、太田治子が父母について書いた本である。太宰治は、太田治子に一度も会わずに死んでいるので、母と父の一部始終は、母からの言い伝え、母の残した日記や著作物、他人…