日本文学

  • 『世相』 織田作之助

    終戦直後に書かれたこの作品は、もちろん創作であるが、私の知らない時代の世相を映し出しているのだろう。ここで描かれる世相は、隙間風の吹くような寒々としたものだが、何かとても正直な「やらかした」感があるよ…

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  • 『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』 大江健三郎 新潮文庫、新潮社

    三つの短篇と二つの中篇からなる作品群。夏目漱石は『現代日本の開化』で、外発的な開化の影響を受ける日本人は「空虚の感」がなければならないと言ったが、原爆を落とされてアメリカに追従しなければならない戦後日…

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  • 『勧善懲悪』 織田作之助

    タイトルの「勧善懲悪」は、坪内逍遥が小説は勧善懲悪を目的とするものではないと言ったことに対する軽い反発もあるかもしれないが、ともかく、戦隊ものや時代劇の水戸黄門のような正義のヒーローものとも、また違う…

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  • 『男女同権』 太宰治

    『だめんず・うぉ~か~』の発表以来、ダメな男(だめんず)という言葉は、倉田真由美の専売になったような趣があるが、それより半世紀以上前、ダメな男について書かれた傑作が存在する。それが、太宰治の『男女同権…

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  • 『鏡子の家』 三島由紀夫 新潮文庫、新潮社

    鏡子という、家持ちの離婚した女の家に集まる青年たちを描いた小説である。収は俳優、夏雄は画家、峻吉は拳闘家(ボクサー)、清一郎はサラリーマンである。この小説は、1959年に発表されており、三島由紀夫が学…

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  • 『告白』 町田康 中公文庫、中央公論新社

    実際にあったという「河内十人斬り」事件を題材にした小説。ここで描かれる城戸熊太郎は、世界と自分、言葉の齟齬に悩む人物で、何かと歯車が狂って、犯罪に手を染め、極道者になってしまうのである。これは、『パン…

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  • 『パンク侍、斬られて候』 町田康 角川文庫、角川書店

    町田康の作品を批評するのは、野暮なのだろう。もっともらしい解釈をしてみても、そんな予定調和をひっくり返すのが PUNK だという気がするからだ。でも、敢えてその野暮をやってみようと思う。『パンク侍、斬…

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