『ルヴァンの天然酵母パン』 甲田幹夫 柴田書店

何やらこだわりの強そうな、一癖ありそうなパン屋のおじさんが書いた本。そういう私も、日本の普通のパン屋で売っているような添加物満載のパンが気に入らず、このような本を手に取っているのだから、同類かもしれない。
この甲田幹夫という人、天然酵母界隈では有名な人なんだそうである。
ざっと読んだ感想は、意外と日本的だということだ。そもそも、国産小麦粉で天然酵母パンを作ることをルヴァンというパン屋は信条としているらしいし、様々な惣菜パンやパイ、キッシュなど多品種を作っている。
もちろんレシピも載っているので、家庭でも作れるが、個人的には作ろうとは思わなかった。手間がかかるし、餅は餅屋ならぬパンはパン屋だと思ったからだ。
著者の甲田幹夫は、タンパク質含有量の少ない国産小麦粉で作る重いパンにこだわりを見せながら、重いパンにも軽くてやわらかいパンにもそれぞれのよさがあると柔軟な姿勢をみせたり、あるフランス人のパン評論家に「クロワッサンではない!」と言われた彼のクロワッサンについて“では「バターを含んだクロワッサン風パン」とでも言おうか”と述べるなど一筋縄ではいかない。このつかみどころの無さが(たぶん)一部の人たちにとっては魅力なのだろう。
このように、この本はやはり一癖ある楽しみ方の出来る一冊である。