「ドビッシャー男」は、造語らしい。意味はわからないが、「珍奇男」や「花男」、「待つ男」などの「男」の系譜に属する。
エレファントカシマシが意識的に売れる路線に転向して、実際に売れたアルバム『ココロに花を』の第1曲目にこの『ドビッシャー男』を持って来る辺りに、彼らの反骨精神を感じてしまう。
売れる曲を書くようになったことに嘘があるとは思わない。むしろ、彼らがデビュー以来背負ってきたある種の反抗する若者像を脱ぎ捨て、自由になったのだ。
それでも、
“新聞読んで メシをかき込んで 出かけてゆくぜ”
という日常生活を送りながら
“男は侍さ 食わねど高楊枝さ”
“正義の味方 今だってそうさ
気取ってるらしいぜ”
にも嘘はない。
あいつも丸くなったね、売れるために世間に媚びるようになったね、などという言葉が聞こえてきても気にすることはない。
むしろ、平凡な名も無き人たちだって、それぞれが譲れない一線を守り、それぞれに成し遂げたい何かを持って生きているのだ。そんな、普通に生きている諦めの悪い数多の男たち(男だけではないかもしれないが)の心をとらえた作品である。

