本書は、大和ハウス工業がスポンサーになって週刊新潮に連載された記事を一冊の本にまとめたものである。著者の内田青蔵は近代日本建築史を専門とする研究者であるが、週刊誌向けの記事だけあって、一般の読者にも読みやすいものとなっている。ひとつひとつの記事は短いが、全部で150回の連載で毎回別の建物を取り上げており、読みごたえは充分だ。
幕末から戦後までの現存する建築物が紹介されているのが特徴だ。この時代の日本の建築を見ると、西洋の影響、本格的な西洋建築の導入、和風御殿、アール・デコやモダニズムなどの当時の西洋の流行の採用、来日した外国人建築家や西洋に遊学した上流階級、外国人建築家のもとで働いた日本人建築家による和と洋の融合など、多種多様であることがわかる。
明治時代に日本に招聘されたお雇い外国人であるジョサイア・コンドルも古典主義の建築も残しているが、独特の和と洋の融合を目指していた形跡がある。
もうひとつ興味深いのは、日本に西洋建築が導入された時期は、アメリカで工業化が進んでいる時期でもあり、アメリカから輸入した住宅またはアメリカから資材を輸入して作られた住宅には、ツーバイフォー工法が採用されていた点である。建築資材を規格化して大量生産し、組み立て方も標準化することでコストを下げ品質を安定させるのは、まさに工業化、近代化であり、いかにもアメリカ的な発想である。
