Serge Gainsbourg がフランス語の詩を書き(元々は ” It Hurts to Say Goodbye ” というアメリカの歌だったらしい)、Françoise Hardy が歌った ” Comment te dire adieu ” をスコットランド人の歌手 Jimmy Somerville が June Miles Kingston と共にカバーしたもの。
Françoise Hardy 版が出たのが1968年、Jimmy Somerville 版が1989年であり、当時すでに懐メロの域に入っていた作品を新たな解釈で世に送り出している。
Serge Gainsbourg と Françoise Hardy による解釈が、いかにもフランスらしい気だるい別れの歌であるのに対して、Jimmy Somerville らは、これをポップでエレクトリックで素っ頓狂なノリで再演している。
別れる時にもカッコつけたがるフランス人をおちょくっているようにも見えるし、案外フランス人ごっこを心から楽しんでいるようにも見える。
もっとも、別れの感情にもいろいろあり、「次のステージへ」もあれば、「せいせいした」もある。そう考えると、この素っ頓狂なノリもあながち的外れとは言えない気がして来た。
実際、 Jimmy Somerville が Bronski Beat 時代に歌った ” Smalltown Boy ” は、自分が育った町のジメジメした環境から旅立つ少年の想いを作品にしている。
そのころの張り裂けそうなテンションからすると、本作には遊び心があり、Jimmy Somerville 自身が音楽を通じて解放されていく様子が感じられる。