リレーショナルデータベースに関するバランスの取れた教科書。
リレーショナルモデルは勿論のこと、E-Rモデル、リレーショナル代数、リレーショナル論理、SQL、リレーショナルデータベースの設計理論、ビュー、トランザクション、ファイルのアクセスと編成、質問処理の最適化、分散型データベース、とこれ一冊で一通り網羅できている。
設計理論に関しても、多値従属性、関数従属性、ボイス-コッド正規形、第5正規形、情報無損失分解と関数従属性保存について、その定理と証明を真面目に行っている本である。
少し難しく感じる向きもあるかもしれないが、データベースを仕事にする人または大学で情報工学を専攻する学生であれば、これくらいは理解する必要があるだろう。
例えば、候補キーと主キーとスーパーキーの違い、デッドロックの検出方法と解消方法、リレーションスキーマが情報無損失分解される必要十分条件について、きちんと答えられるだろうか。また、ファイルのアクセス法と編成法、質問処理の最適化には、リレーショナルモデルを実装する際のパフォーマンス向上に様々なアイデアが投入されたことが読み取れるだろう。
2017年に、第3版が出た。新訂版との主な違いは、ビッグデータに関する章が加わったことである。