『ルナティック雑技団』全3巻 岡田あーみん 集英社

今でも、一部の変な人たちにカリスマ的人気を誇ると言われる岡田あーみん。その岡田あーみん三部作と呼ばれる作品の中でも最後の作品であり、最も少女漫画しているのが「ルナティック雑技団」である。
主人公、星野夢実は何故か同級生で孤高の貴公子、天湖森夜の家に下宿することになり、恋のライバル成金薫子や森夜の母の嫉妬に翻弄されることになる。さらに、学園のアイドル愛咲ルイは夢実のことが好きで、としっかり学園ものの漫画になっている。
しかし、岡田あーみんの作品であるから、すべてが濃いのである。天湖森夜の母は今で言う毒親であるし、森夜はイケメンだがコミュ力に難がある。
もちろん、散りばめられたギャグもとても良いし、愛咲ルイの勘違いキャラや彼の家族、そして成金薫子の取り巻きなど脇役も個性的である。
個人的には、愛咲ルイの独白(または妄想?)が好きである。“学校なんかやめちゃってデカダン酔いしれ暮らさないか 白い壁に「堕天使」って書いて!?”この良さが分かるだろうか。
そして、やはりこの作品は少女漫画である。温もりを知らない孤独な王子、天湖森夜は人を愛することができるのか? 星野夢実は、何故自分から天湖家を出ることにしたのか? 成金薫子は素直になれるのか? 愛咲ルイは失恋を乗り越えて少し大人になったのか? とても良い作品である。

あー民(信者)ならば、こちらも。