『冒険者たち』 ロベール・アンリコ 監督 アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス 出演

日本人が最も愛したフランス映画とも、青春映画の金字塔とも呼ばれる本作。
物語は、ジョアンナ・シムカス演じる駆け出し芸術家のレティシアが廃材を求めて、リノ・ヴァンチュラ演じるエンジニアのローランを訪れるところから始まる。アラン・ドロン演じるパイロットのマニュは、ローランの友人であり、三人が顔を揃えることになる。
程なく、それぞれに挫折を経験した三人は、一発逆転を目指して宝探しの旅に出掛ける。
物語の展開は、映画を見ていただくことにして、評者の印象に残ったシーンは、船の上でレティシアがローランに、この旅から戻ったら「あなたと一緒に暮らす」と言った時、ローランが戸惑いながら「そしたら、マニュは…」と返したところである。
そして、あまりに有名すぎる要塞島でのラストシーン。息絶えるマニュに対してローランは、「レティシアは、おまえと暮らしたいと言っていた」と、見え透いた嘘をつく。不器用な愛の表現、不器用な友情の表現は、時代や国境を越えてフォトジェニックである。
そして、三人とも、他人の悪意や嫉妬に無頓着で詰めが甘いところが、愛すべき人物像を作り上げている。
これとは別であるが、作中の日本の映画関係者キヨバシや日本風の料亭、コンゴのベルギー人の描かれ方など、フランス人がどのような固定観念を持っているのか窺い知ることも出来る。