若き日のウィノナ・ライダーとイーサン・ホークを見ることが出来る本作。何ということのない若者たちを描いた映画ともいえるが、印象に残る場面の数々がある。
冒頭、卒業生総代としてスピーチするリレイナ(ウィノナ・ライダー)は、こう言う。
“彼ら(上の世代)は、私たちがなぜ彼らの発明したカウンターカルチャーに興味がないのか不思議に思うそうです。まるで、彼らが(自分たちで)革命からランニングシューズに乗り換えたのを、私たちが知らないかのように”
リレイナが個人的に作成しているドキュメンタリーは、模範となる人物像やヒーローがいない中で、自分たちのアイデンティティを見つけようと模索している同世代についてだという。
そして、トロイ(イーサン・ホーク)は、リレイナが紹介したリレイナの父の会社の面接をすっぽかす。
紛れもなく、この映画は、90年代の空気を切り取ることに成功している。ここで描かれているアメリカには、何とも言えない焦燥感とリアリティを感じるのである。
理想と現実の相克でもない。理想自体が見つからない時代の若者の日常と漂流を描いている。
日本では、学生運動が終息した後に大学に入学した世代を「シラケ世代」などと呼ぶらしいが、上の世代の変節を見て育った X 世代は、最初からシラケているのである。