『強がりと弱虫』 ジェニーハイ

以前BSスカパー!で放送されていた「BAZOOKA!!!」の中で結成されたバンド「ジェニーハイ」。いわゆる企画ものなのだが、これがなかなか良いのである。
小難しくなりがちな新垣隆氏のピアノ奏法を、技巧は残したまま絶妙に POP に仕上げる川谷絵音のプロデュース能力など、感心するばかりである。
『強がりと弱虫』は、MV 無しにもかかわらず、本稿執筆時点で YouTube 再生60万回以上と、ネット民の心に刺さっているようである。
“世界中が敵になっても味方でいるとか 言ってくれよ”

翻って、あなたには、私には、そんなに必死になって庇いたいと思えるような人はいるだろうか? 愛をくれくれ言うよりも、自分にとって本当に大切な人を見つけてからが人生の本番である。
だが、説教されるために歌を聴いているのではないのだ。この泣き言が良いのである。
“嘘でもいいから天才だって言ってくれよ”
ジェニーハイのジェニー(génie)は、フランス語で「天才」の意味である。
ガロア(1811~1832)のように天才少年のままこの世を去るのはロマンがあるが、自分は凡人かもしれないと気づいてからのジタバタした人生も乙なものである。
自分の押し売りから目が覚めて、自分以外に愛せるものが見つかった時、何かが開けるのではないだろうか。