プロ・アマ問わず、印刷物の作成で苦労することは多い。入稿とは、印刷所に原稿を入れること、現在ではデータ(と確認用の紙原稿)を渡すことを意味する。
本書では、Illustrator、InDesign、Photoshop でデータを作る時の注意点から、印刷の版やインキの仕組み、フォントの知識、テキストのアウトライン化、オブジェクトの分割などについても解説されている。
また、PDF 入稿、アプリケーション形式での入稿、RGB 入稿、EPS 入稿について、それぞれの利点と具体的な注意点が書かれている。
入稿前のチェックで是非活用したいジョブオプションやプリフライトに関する記述は、大変ためになる。
さらに、オーバープリント、墨ノセ、トラップ、特色印刷、活版印刷、箔押しなど、他の書籍ではあまり得られない情報にも触れている。
著者の井上のきあ氏は、イラストレーターでデザイナーということで、読者層としては、同人誌の制作者や個人でグラフィックデザイナーをしている人などを想定しているようだが、出版社に勤める編集者や印刷会社の営業の人の研修用としても適していると思う。
入稿に際しては、印刷所としっかり話し合って、行き違いの無いようにするのが基本であるが、編集者が印刷所に無茶を言うとか印刷所の担当者がよくわからずに仕事を引き受けてしまうというのは、わりとよくある話である。