『想いきり』 indigo la End

「私が何人目なの?」で始まるこの曲。
ずいぶんモテるんだな。
私が気になったのは、
“等価交換なんて 火遊びの延長でしょ
許す愛し方 知らないんでしょ”
の箇所である。
それは、そうだ。Win – Win の関係や Give and Take などというのは、安っぽいビジネス書の世界である。愛に打算はない。
“Love Is A Losing Game” (Amy Winehouse) または、「愛ハ惜シミナク奪ウ。」(太宰治『創生記』)。

しかしである。ここで、冒頭の「私が何人目なの?」に戻ってみる。危うく雰囲気に飲まれるところだった。自らの放蕩ぶりを詭弁を駆使して正当化していないだろうか?
「許す愛し方知らないんでしょ」は、愛を搾取する側が言って良い言葉ではない。これでは、クズの極み男子である。是非とも、これは作品の中だけにしていただきたい。
『想いきり』の MV は、『プレイバック』と対になっている。その曲の中では、
“幸せを口にしたら恥ずかしい気がしてた 今ならいくらでも言えるんだけど”
などと、思いのほか健気な言葉を吐いている。川谷絵音は詐欺師だろうか、天才だろうか?