随筆・自伝
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『十六の墓標(上・下)』 永田洋子 彩流社
連合赤軍のリーダー永田洋子が獄中でまとめた手記。連合赤軍とその前身は同志を十四名殺害、一人は警察官に反撃されて死亡、もう一人のリーダー森恒夫は拘置所で自殺している。この書物で気になった所を二つに絞って…
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『私の嫌いな10の言葉』 中島義道 新潮文庫、新潮社
本棚を整理していて出て来た書物『私の嫌いな10の言葉』。久しぶりに読み返してみて、確かに中島義道の毒舌が冴えわたっていた時代があったなと思い返した。そして、最初の嫌いな言葉「相手の気持ちを考えろよ!」…
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『田中清玄自伝』 田中清玄、大須賀瑞夫 ちくま文庫、筑摩書房
田中清玄をご存じだろうか?田中清玄は、戦前の非合法時代の日本共産党の書記長まで務め、逮捕され、獄中で右翼に転向した。刑務所を出てからは、龍沢寺の山本玄峰の下で修業、戦後は土木事業をやったり、反共活動を…
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『本能の力』 戸塚宏 新潮社
戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏の著作。この本は、彼がやって来たことを「合理化」するための屁理屈の羅列である。これこそ、彼が最も嫌うことではなかったのか?彼の言い訳はなかなか巧妙で、その矛盾を一つ一つ指…
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『市民科学者として生きる』 高木仁三郎 岩波新書、岩波書店
原子力資料情報室で知られる高木仁三郎の著作。死期が迫る中で書かれたからだろうか、他の著作と違って、著者の個人的なことも語られている。敗戦を迎えた少年時代、受験優等生だった高校生の頃、東大に入ってからの…
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『太宰婚〜古本カフェ・フォスフォレッセンスの開業物語〜』 駄場みゆき 著 パブリック・ブレイン 発行 星雲社 発売
三鷹で古本カフェ「フォスフォレッセンス」を経営している駄場みゆき氏による開業物語。カバーに大きく「太宰婚」と書かれているように、禅林寺の桜桃忌でのご主人との馴れ初めも語られている。そして、何とお二人の…
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『明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子』 太田治子 朝日新聞出版
『斜陽』に日記を提供した太田静子と太宰治の娘、太田治子が父母について書いた本である。太宰治は、太田治子に一度も会わずに死んでいるので、母と父の一部始終は、母からの言い伝え、母の残した日記や著作物、他人…
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『生き地獄天国――雨宮処凛自伝』 雨宮処凛 ちくま文庫、筑摩書房
今や活動家・作家として活躍している雨宮処凛のデビュー作。イジメ、追っかけ、自殺未遂、オウム信者との出会い、右翼団体への入会と脱退、北朝鮮行き、イラク行き、等20代前半までの著者の経験を書いた自伝である…
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『若き数学者のアメリカ』 藤原正彦 新潮社
数学者・エッセイスト藤原正彦の初期の著作。本人が、1972年から75年まで研究員、助教授としてアメリカに滞在した経験を綴っている。この時期のアメリカは既に、Ph.D の就職難、実績作りのための論文の大…
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『若きサムライのために』 三島由紀夫 文春文庫、文藝春秋
Pocket パンチ Oh! に連載された「若きサムライのための精神講話」を始め、雑誌に掲載された三島由紀夫のエッセイを集めたものである。例の右翼思想のようなものについても、三島自身の言葉で語られてい…
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『岡林、信康を語る』 岡林信康 ディスクユニオン
“フォークの神様”ともてはやされた歌手、岡林信康の自伝的インタビュー集。インタビューは、東京編と京都編、ともに2010年のものである。これは、キリストごっこから生還した男の物語である。「山谷ブルース」…
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『アナキズム・イン・ザ・UK――壊れた英国とパンク保育士奮闘記』 ブレイディみかこ ele-king books, Pヴァイン
英国在住のブロガー・コラムニスト、ブレイディみかこのエッセイ集。ブログからの収録あり、書き下ろしありである。内容は、働かないでエコロジーっぽいことをしてる人の話、音楽・芸能の話、英国の世相・政治の話、…