赤いチューリップの花言葉は「愛の告白」で、白いチューリップの花言葉は「失われた愛」だとか。またしても、別れの歌である。
この曲の中で気になったのは、
“散文的な変わり目”
というフレーズである。
「散文的」を国語辞典で調べると、
詩情ににとぼしく平凡なさま。〈対義語〉詩的
とある。
つまり、散文的な変わり目というのは、詩(ポエム)から散文(普通の文)へと変わる瞬間と言い換えても良いだろう。
一時期、政治家や有名人の何かふわふわした耳障りの良さそうな掛け声を揶揄する意味で「ポエム」という言葉が使われたが、ここでは恋する人の精神状態を指していると思われる。そして、この曲は、ポエム言い換えれば脳内お花畑状態から、通常運転に戻る瞬間を描いていながら、お花畑を揶揄している感じは無いのだ。
もう冷めてしまったから、戻れないのはほぼ確実なのだけれど、あのポエムの状態を愛おしむ感じが全編に漂っている。
間奏のギターソロの直前、ヴォーカルの音程が低くなるところが良い。しかし、韻文から散文に変わる瞬間が詩になるというのも不思議なことだ。